昨日の事だった。 「明日ここに来いよ。わかったな!?」 「・・・はい」 突然部屋に押しかけて来た借金取りに陵辱され、 精液塗れの無残な姿に投げつけられた1枚の封筒。 中の便箋には住所が書かれていた。 その金融会社の住所である。 ここに行ったら何をされるのか、概ね見当は付いていた。 今受けた以上の陵辱が待っているのだろう。 しかし、紀子に選択肢などなかった。 800万の借金を返済するあてが無い以上、行く以外にないのだ。 翌日、紀子は重い足を引きずりながらも、命令通りその場へ向かった。 電車に揺られて向かう道中、うつむくと涙がこぼれ落ちてくる。 これから自分の身に起こるだろう事を考えると、イヤでイヤで仕方が無い。 それは本心からの気持ちの筈だった。 だが人間とは、妬みや逆恨み、虚栄心といった忌むべき感情ほど、 いざ自分が持ってしまうと、それと気が付けない事がある。 否定したい感情の時ほど、客観的に自分を見る事ができなくなるものなのだ。 彼女はこの時、まだ気付いていなかった。 昨日受けた、借金取りからの陵辱に、自分が感じていた本当の気持ちを・・・。