大勢の患者が訪れる、病院という聖域。 角度を変えて見ると、そこは魔窟である。 怪我や病気が治る者もいれば、天に召される者もいる。 祝福と哀しみの交錯した、その場所を職場にする者の多くは、一様にどこか異常性を隠し持つという。 入院病棟の看護主任を務める、坂井真理もその1人である。 彼女は、世間で男性依存症と言われるタイプの女性であった。 ある日の昼下がりの院長室、医師の1人と院長の打合せ中に、 院長の机の下で陰茎にしゃぶりついていたのも、彼に請われての事だった。 真理は嬉しいのだ、どんな形であれ自分を必要とされる事が。 だから求められる事は、なんでもしたくなる。 そうして身を捧げていく中で、彼女の中に眠っていたもう一つの異常性、 マゾヒストとしての芽生えが、少しずつ近づいていた・・・。