12年間想い続けた男性の結婚。それは彼女から生きる原動力を奪った。まるで糸の切れた操り人形のように力なく塞ぎ込む彼女。コンビニの仕事も辞め、引き篭もりインターネットの世界に入り込む日々が始まる。生きるというのは本来孤独な事である。それ故に誰もが知らずに何かに縛られ依存している。それは恋愛であったり、家族であったり、友人であったり、仕事であったり、人それぞれ。彼女の場合、それは圧倒的に恋愛だった。両親は離婚、友人もいない。仕事も生き甲斐にはなりえなかった。宙ぶらりんの心。ペットボトルの水を注ぐ時、ボトルから無くなった水の容積分だけ空気が流れ込む事で隙間が埋まり、ペットボトルの形状が保たれる。彼女の心もまたそれと同じように心の隙間を埋める新たな依存の対象を探した。そうして行き着いたのがSMだったのだろう。